調教タイムが速い馬の複勝を買い続けたら?|坂路とウッドで確かめた

調教タイム(追い切りの時計)が速い馬の複勝を買い続けたら、回収率はどうなるのでしょうか。
追い切りは、レースの前に馬を速く走らせる調教です。その最後の1ハロン(200m)の時計で馬を分けて、複勝の回収率を確かめます。期間は2025年1月〜2026年6月の1年半です。
そのあと、時計の速い馬に条件を足し、回収率をどこまで上げられるかも試します。
分析には、当サイトの運営者が作ったソフト「競馬AI予想メーカー 馬券シミュレーター」を使っています。
調べた条件
分析期間の結果がたまたまでないかを、その前の2年(比較期間)でも確かめました。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 分析期間 | 2025年1月1日〜2026年6月24日(1年半) |
| 比較期間 | 2023年1月5日〜2024年12月31日(2年) |
| レース | 中央競馬の芝とダートを合わせて集計(障害レースは除く) |
| 買い方 | 条件に合った馬の複勝を、1頭100円ずつ |
| 追い切り | 坂路とウッドごとに、レースの5日前〜前日で最後の1ハロンが13.5秒以下のいちばん速い1本 |
追い切りの記録は2023年1月からなので、比較期間は2年です。
まずはすべての馬の複勝を買い続けてみた
最初に、分析期間の全レースで、出走したすべての馬の複勝を買い続けた成績を調べました。

| 項目 | すべての馬の複勝(分析期間) |
|---|---|
| 買った馬 | 68,948頭 |
| 回収率 | 70.78% |
| 損益(収支) | -2,014,710円 |
回収率は70.78%でした。
比較期間でも、回収率は70%台でした。
| 期間 | 買った馬 | 回収率 | 損益(収支) |
|---|---|---|---|
| 分析期間(1年半) | 68,948頭 | 70.78% | -2,014,710円 |
| 比較期間(2年) | 91,650頭 | 72.81% | -2,492,190円 |
JRA(日本中央競馬会)の複勝は、売上の20%が差し引かれてから払戻に回ります(払戻率80%)。どちらの期間も、回収率はこの80%を下回りました。
では、追い切りの中身で絞ると、回収率は上がるのでしょうか。
仮説1:坂路で追い切った馬なら、回収率が上がるのでは?
追い切りを行うコースには、坂路とウッドがあります。坂路は坂になった調教用のコース、ウッドはウッドチップ(木を細かく砕いたもの)を敷いた調教用のコースです。
2つのコースと、この記事で使う追い切りの時計を、図で示します。

ここからは、有償版の項目(坂路とウッドの追い切りの時計)で絞ります。
まず、坂路で追い切った馬だけに絞りました。分析期間では、すべての馬の4割ほどに、最後の1ハロンが13.5秒以下の坂路の追い切りがあります。

| 絞り方 | 分析期間 | 比較期間 |
|---|---|---|
| すべての馬 | 70.78%(68,948頭) | 72.81%(91,650頭) |
| 坂路で追い切った馬 | 74.00%(29,433頭) | 75.50%(36,221頭) |
坂路で追い切った馬に絞ると、2つの期間とも、すべての馬より回収率がわずかに高くなる傾向にあります。
仮説2:坂路の最後の1ハロンが速いほど、回収率が上がるのでは?
速い時計を「好時計」と言い、「好時計を出した馬は調子がいい」とよく聞きます。
坂路で追い切っただけでは、回収率は70%台のままでした。そこで、坂路で追い切った馬を、最後の1ハロンの時計ごとに分けて分析しました。

| 最後の1ハロン | 回収率(分析期間) | 回収率(比較期間) | 馬の数(分析期間) | 馬の数(比較期間) |
|---|---|---|---|---|
| 11.0〜11.9秒 | 92.00% | 89.11% | 865 | 949 |
| 12.0〜12.9秒 | 77.83% | 75.78% | 22,414 | 27,007 |
| 13.0〜13.5秒 | 57.49% | 73.03% | 6,154 | 8,264 |
| 坂路で追い切った馬(絞る前) | 74.00% | 75.50% | 29,433 | 36,221 |
分析の結果、2つの期間とも、最後の1ハロンが速いほど回収率が高くなりました。11秒台は2つの期間とも90%前後で、絞る前を大きく上回っています。

範囲は、次の決まりで決めます。
- 区切りを選ぶ:2つの期間とも絞る前より高く、どちらも300頭以上いること
- 範囲を広げる:隣の区切りを加えるかは表を見て決め、まとめても2つの期間とも絞る前より高いこと
- 300頭に届かない区切り:それだけでは高い・低いを判断せず、隣とまとめて見ること
- 条件を足す:2つの期間とも、足す前より回収率が上がり、どちらも500頭以上残ること
この決まりの流れを、図で示します。

11秒台は、2つの期間とも12秒台より10%以上高くなりました。12秒台も2つの期間とも絞る前より高いものの、加えると馬の多い12秒台の回収率に近づきます。そこで、11秒台に絞りました。

最後の1ハロンが11秒台の馬に絞った成績です。

| 絞り方 | 分析期間 | 比較期間 |
|---|---|---|
| 坂路で追い切った馬 | 74.00%(29,433頭) | 75.50%(36,221頭) |
| +坂路の最後の1ハロン11秒台 | 92.00%(865頭) | 89.11%(949頭) |
坂路で追い切った馬は、最後の1ハロンが速いほど回収率が高く、11秒台に絞ると2つの期間とも大きく上がりました。
仮説3:レースの距離でも絞れるのでは?
最後の1ハロンが11秒台の馬でも、レースの距離によって回収率が違うかもしれません。そこで、レースの距離ごとに分析しました。

| レースの距離 | 回収率(分析期間) | 回収率(比較期間) | 馬の数(分析期間) | 馬の数(比較期間) |
|---|---|---|---|---|
| 1400m以下 | 94.17% | 101.02% | 496 | 529 |
| 1401〜1800m | 91.03% | 76.30% | 252 | 308 |
| 1801〜2200m | 88.51% | 74.67% | 94 | 92 |
| 2201m以上 | 70.00% | 38.00% | 23 | 20 |
| 11秒台の馬(絞る前) | 92.00% | 89.11% | 865 | 949 |
分析の結果、2つの期間とも300頭に届き、絞る前より高くなった区切りは、1400m以下だけでした。
1401〜1800mは、比較期間で絞る前より低くなりました(分析期間は300頭に届きません)。1801〜2200mと2201m以上は、2つの期間とも300頭に届きません。
1400m以下だけにすると、分析期間の馬は496頭で、500頭を下回ります。そこで、1400m以下に、隣の区切りを1つずつ加えました。
1401〜1800mは、比較期間で絞る前より低い区切りです。それでも、2200m以下までまとめると、2つの期間とも絞る前を上回ります。
2201m以上まで入れると、距離で絞らないのと同じになるので、2200m以下で止めました。外れるのは、2201m以上の23頭(分析期間)と20頭(比較期間)です。
距離2200m以下まで絞った成績です。上が分析期間、下が比較期間です。


| 絞り方 | 分析期間 | 比較期間 |
|---|---|---|
| +坂路の最後の1ハロン11秒台 | 92.00%(865頭) | 89.11%(949頭) |
| +距離2200m以下 | 92.60%(842頭) | 90.22%(929頭) |
距離で絞ると、分析期間は92.60%、比較期間は90.22%まで上がりました。
坂路の最後の1ハロンが11秒台の馬は、レースの距離が短いほど回収率が高い傾向にあります。
仮説4:ウッドで追い切った馬でも、最後の1ハロンが速いほど回収率が上がるのでは?
次は、坂路の絞り方とは別に、すべての馬の中からウッドで追い切った馬を見ます。
ウッドで追い切った馬だけにすると、回収率は分析期間69.18%・比較期間71.11%でした。どちらの期間も、すべての馬より少し低い値です。
坂路と同じように、最後の1ハロンの時計ごとに分析しました。

| 最後の1ハロン | 回収率(分析期間) | 回収率(比較期間) | 馬の数(分析期間) | 馬の数(比較期間) |
|---|---|---|---|---|
| 10.0〜10.9秒 | 68.82% | 104.50% | 119 | 51 |
| 11.0〜11.9秒 | 70.63% | 74.33% | 17,184 | 20,269 |
| 12.0〜12.9秒 | 67.69% | 67.38% | 10,518 | 16,159 |
| 13.0〜13.5秒 | 54.71% | 65.45% | 642 | 1,181 |
| ウッドで追い切った馬(絞る前) | 69.18% | 71.11% | 28,463 | 37,661 |
分析の結果、ウッドでも2つの期間とも、11秒台、12秒台、13秒台の順に回収率が低くなりました。300頭に届く区切りのうち、絞る前(ウッドで追い切った馬)を上回ったのは、11秒台だけです。
11秒台の上回り方は、分析期間で1%ほど、比較期間で3%ほどです。10秒台は、2つの期間とも300頭に届きません。
そこで、11秒台に、300頭に届かない隣の10秒台を加えて、10.0〜11.9秒に絞りました。すべての馬の4分の1ほどが、この範囲に入ります。

| 絞り方 | 分析期間 | 比較期間 |
|---|---|---|
| すべての馬 | 70.78%(68,948頭) | 72.81%(91,650頭) |
| ウッドで追い切った馬 | 69.18%(28,463頭) | 71.11%(37,661頭) |
| +ウッドの最後の1ハロン10.0〜11.9秒 | 70.62%(17,303頭) | 74.41%(20,320頭) |
最後の1ハロンで絞ると、どちらの期間も少し上がりましたが、分析期間はすべての馬とほぼ同じです。
ウッドでも、11〜13秒台では速いほど回収率が高く、この点は坂路と同じでした。上がり方は坂路より小さいものの、ウッドで追い切った馬も、最後の1ハロンで絞ると回収率がわずかに上がっています。
条件を足すたびに、回収率はどう変わったか
坂路の絞り方ごとに、2つの期間の回収率をまとめました。

| 絞り方 | 分析期間 | 比較期間 |
|---|---|---|
| すべての馬 | 70.78%(68,948頭) | 72.81%(91,650頭) |
| 坂路で追い切った馬 | 74.00%(29,433頭) | 75.50%(36,221頭) |
| +坂路の最後の1ハロン11秒台 | 92.00%(865頭) | 89.11%(949頭) |
| +距離2200m以下 | 92.60%(842頭) | 90.22%(929頭) |
回収率がいちばん大きく上がったのは、坂路の最後の1ハロンを11秒台に絞ったときでした。買った馬は、すべての馬のときの1%ほどになっています。
年ごとに見ると、どうだったか
距離2200m以下まで絞った買い方を、年ごとに分けて見ます。2023年〜2024年が比較期間、2025年からが分析期間です。


| 年 | 回収率 | 買った馬 |
|---|---|---|
| 2023年 | 97.45% | 455 |
| 2024年 | 83.27% | 474 |
| 2025年 | 91.48% | 623 |
| 2026年(6月まで) | 95.80% | 219 |
| 比較期間の合計 | 90.22% | 929 |
| すべての馬の複勝(比較期間) | 72.81% | 91,650 |
| 分析期間の合計 | 92.60% | 842 |
| すべての馬の複勝(分析期間) | 70.78% | 68,948 |
2026年(6月まで)は219頭で、300頭に届きません。いちばん低かったのは、2024年の83.27%です。どの年も、すべての馬の複勝を上回っています。
この記事の数字について
比較期間に、すべての馬の複勝を買ったレースは6,656レースです。回収率は、戻ってきた額の合計÷買った額の合計です(取消などで返ってきた分は除く)。
データは、JRAのレースを当サイトが独自に集計しました。
追い切りの時計は、坂路の最後の1ハロンから見てみましょう!
坂路の最後の1ハロンを11秒台、距離を2200m以下と絞るたびに回収率が上がり、2つの期間とも90%を超えました。
ウッドは、速い馬に絞ると分析期間はすべての馬と同じくらいでした。坂路では、最後の1ハロンが速いほど回収率が高く、その差はウッドよりはっきりしています。
年ごとに見ても、どの年もその期間のすべての馬の複勝より高い値でした。
1400m以下だけに絞ると、回収率は2つの期間とも上がりました。分析期間の馬は496頭で500頭を下回るので、この記事では2200m以下までを条件にしています。
追い切りの見方そのものは、追い切りの見方と、タイム・動きの評価の記事で解説しています。
ここからは、ご自身の予想の考え方や、当サイトのほかの検証記事の結果も組み合わせてみましょう。回収率をさらに上げる条件を探してみてください。
同じ分析は、馬券シミュレーターの有償版で行えます。ソフトを動かすには、別にレースデータの会員契約(有料)が要ります。
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よくある質問
調教タイムが速い馬の複勝は、回収率が高いですか?
坂路で追い切った馬では、最後の1ハロンが速いほど回収率が高くなりました。11秒台の馬の回収率は、2025年1月〜2026年6月で92.00%(865頭)でした。2023年1月〜2024年12月は89.11%(949頭)です。坂路で追い切った馬全体は、同じ2つの期間で74.00%(29,433頭)と75.50%(36,221頭)でした。
ウッドで追い切った馬でも、13秒台、12秒台、11秒台と速くなるほど回収率が高くなりました。最後の1ハロンを10.0〜11.9秒に絞ると、ウッドで追い切った馬全体より、2つの期間とも少し上がりました。2025年1月〜2026年6月は70.62%で、すべての馬(70.78%)とほぼ同じでした。2023年1月〜2024年12月は74.41%です。
坂路とウッドでは、どちらで追い切った馬のほうが回収率が高かったですか?
2つの期間とも、坂路で追い切った馬のほうが高くなりました。2025年1月〜2026年6月は、坂路74.00%(29,433頭)・ウッド69.18%(28,463頭)でした。2023年1月〜2024年12月は、坂路75.50%(36,221頭)・ウッド71.11%(37,661頭)でした。
どちらも、複勝の払戻率の80%を下回っています。坂路は、最後の1ハロンが11秒台の馬に絞ると、2つの期間とも90%前後まで上がりました。
坂路で追い切った馬の複勝で、回収率が上がったのはどんな条件でしたか?
坂路の最後の1ハロンが11秒台で、レースの距離が2200m以下の馬です(芝とダートを合わせて集計)。回収率は、2025年1月〜2026年6月で92.60%(842頭)でした。2023年1月〜2024年12月では90.22%(929頭)でした。
年ごとに見ると、いちばん低かったのは2024年の83.27%です。
距離を1400m以下だけに絞ると、回収率は2つの期間ともさらに上がりました。2025年1月〜2026年6月は94.17%(496頭)でした。2023年1月〜2024年12月は101.02%(529頭)です。2025年1月〜2026年6月の馬は500頭を下回るので、条件は2200m以下までにしています。
この記事では、買う馬を、坂路の追い切りの時計とレースの距離で選びました。同じレースの馬どうしを別の目で見比べたいときは、当サイトの指数も使えます。
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