競馬の「期待値」を計算する【2つの方法】を徹底解説!
競馬における期待値の算出方法とは
競馬で長期的にプラス収支を実現するためには、まず「期待値とは何か」を理解する必要があります。
期待値は、ある馬券がどれだけの利益をもたらす可能性があるかを示す数値です。
そこで、期待値を計算する方法について、2つの考え方をご紹介します!
競馬の期待値計算の基本は「勝率×オッズ」
期待値と一口に言っても、払い戻し額の期待値なのか、収支の期待値なのかなどによって式は変わってきます。
このページでは一律に、払い戻し額の期待値として計算・説明を行います。このときの期待値は、次の式で計算されます
払い戻し額期待値=勝率×想定払い戻し額
=勝率×(オッズ×購入金額)
具体例を用いて計算してみましょう。
ある馬の勝率が30%(=0.3)とします。
その馬の単勝オッズが4.0倍、購入金額が100円の場合は次の通りとなります。
期待値=勝率×想定払い戻し額
=勝率×(オッズ×購入金額)
=0.3×(4.0×100)
=120
したがって、この場合は100円の購入金額に対して120円の払い戻しが期待できる、つまり20円の利益が期待できることになります。
競馬における期待値計算の問題点
競馬における期待値の考え方の基本は、勝率×オッズ×購入金額ですが、この値を計算するためには勝率とオッズの2つの値を把握する必要があります。
ここで、競馬のオッズの決定方法が大きな問題となります。
パリミュチュエル方式
日本の競馬では、パリミュチュエル方式と呼ばれる方法でオッズが決定されます。
この方式の特徴は、賭けられた全額から主催者(JRA)の控除率分を差し引いた残りの金額を、馬券的中者で分け合うという点にあります。
多くの人がある馬に賭けると、その馬のオッズは下がり、配当は少なくなります。逆に、少数が賭けた馬が勝つと、高い配当が得られます。
このシステムでは、オッズはレースが始まるまで変動し続け、投票締め切り後にオッズが確定します。
馬券を購入する時点でオッズが確定しない
投票締め切り後にオッズが確定するということは、逆に言えば投票時には最終オッズは確定していないということです。
そのため、たとえ各馬の勝率を誤差なく完璧に計算できたとしても、購入時点で正確な期待値を算出することは理論上不可能となります。
もちろん、各馬の勝率の計算だけでも非常に困難です。それに加えてオッズの変動という要素があるため、期待値計算の基本概念である「勝率×オッズ×購入金額」の式による算出は他の投資やギャンブルと比べてハードルが高くなります。
そこで、期待値の基本概念とは異なるアプローチにより、結果的に高い期待値の馬を導き出す方法を解説します。
過大評価・過小評価されている馬を探す
競馬はさまざまな偶然や運に左右されるため、最も能力が高い馬であっても毎回1着になるわけではありません。それは過去のレースにおいても同様で、前回勝った馬の能力が高く、負けた馬の能力が低いとは限りません。
ですが、多くの人は前走好走した馬は能力が高いと考えてしまい、過大評価される馬や過小評価される馬が発生します。
過大評価された馬は、本来の勝率以上に馬券が売れるためオッズが低くなり、過小評価された馬は馬券が売れないためオッズが高くなります。
そのため、結果として過大評価の馬の期待値は低く、過小評価の馬の期待値は高くなります。
このように、どの程度過大評価または過小評価されているかを計算することにより、勝率や最終オッズを正確に算出することができなくても期待値の高い馬を導き出すことが可能となります。
過去の回収率から期待値を導き出す
最も簡単に、過大評価・過小評価されている条件を見つける方法が、過去データの回収率を調べることです。
競馬における回収率の特徴
回収率とは、過去のレースを対象に、指定した馬券を購入した際の収支の結果を表します。
単勝馬券の控除率は20%であるため、オッズ通りの勝率であれば回収率は80%になります。
しかし、過剰評価されている場合は80%よりも低くなり、過小評価されている場合は80%よりも高くなります。
回収率を期待値へ変換
例えば、過去3年間の1番人気の回収率が75%であるとし、3年間1番人気の馬を買い続けたとします。
3年間の合計購入金額が100万円だとすれば
(購入額)100万円✕(回収率)75%=75万円
となり、100万円の資金が75万円(25万円の損失)になる結果であったことを意味します。
この、75%という回収率が将来も変わらないのであれば、払い戻し額の期待値も以下の通り計算ができます。
払い戻し額期待値=購入金額✕75%
このように過去の回収率データから、帰納法的に将来の期待値を導き出すことが可能となります。
過大評価されやすいパターン
多くの馬券購入者は「当てたい」という気持ちが強く、能力が高く勝率が高いと思われる馬は過剰人気となる傾向にあります。
具体例をいくつかご紹介します。
前走着順ごとの回収率
こちらは前走の着順ごとの単勝回収率(%)と勝率をグラフ化したものです。
単勝馬券は控除率が20%のため、平均の回収率は80%となります。
全体的な傾向として、前走の着順が良い馬ほど勝率は高いが回収率が低く、前走惨敗している方は勝率は低いが回収率が高くなっています。
特に前走2着、3着の馬については、次に勝利する可能性が最も高いと考える人が多いため、実力以上に馬券を購入されているということがわかります。
1番人気馬と下位人気馬
今度は人気順位毎の回収率のグラフです。
1番人気をはじめとした上位人気と、8番人気以下の買い人気馬の回収率が低くなっています。そして5~7番人気の中位人気馬の回収率が高くなっています。
「当てたい」という思いが強い人たちが上位人気馬を購入するとともに、一撃を期待する人たちが大穴馬を購入することにより、上位人気馬・下位人気馬が実力以上過剰人気していると推測されます。
このように、前走着順や人気順位など多くの人の目に止まりやすく、「とりあえずこの馬から買おう」と多くの人が考えやすい馬は過剰人気になり、期待値が低い傾向があります。
過小評価されやすいパターン
過小評価されている馬が期待値が高い馬となりますが、その過小評価されやすい条件には複数のパターンがあります。
勝率が高く、期待値も高くなるパターン
こちらのグラフは、ダートレースにおける枠番ごとの回収率及び勝率をグラフ化したものです。
ダートレースにおいてはスタート直後に加速がつきやすい芝の上を長く走れ、またキックバックの影響を受けにくい外枠が有利となり、勝率が高くなっています。
しかし、そのことが馬券購入者に広く認知されていないため、勝率と回収率が比例する結果となっています。
こちらのグラフは、ダートレースにおける馬体重ごとの回収率及び勝率をグラフ化したものです。
ダートレースは馬格が大きくパワーのある馬の方が勝率が高くなりますが、こちらもその因果関係が認知されておらず勝率と回収率が比例する形となっています。
このような、有利であるにもかかわらずその事実がオッズに反映されていないパターンは簡単に見つけることができませんが、見つけることができれば非常に強力で高期待値のファクターとなります。
勝率には影響しないが期待値が高くなるパターン
こちらはダートレースにおける、前走の頭数ごとの今走回収率と勝率をグラフ化したものです。
前走頭数に関わらず勝率は7%前後で推移していますが、回収率は前走頭数が少ないほど低く、前走頭数が多いほど高い傾向があります。
前走10頭立てでの2着と15頭立てでの2着では同じ2着でもその価値は異なってきます。しかし競馬新聞などの馬柱を見る際に着順ばかりに着目し、何頭立てであったかまで見る人は多くありません。
言い換えれば前走頭数が多いほうが過小評価されているということになります。
前走頭数というファクターのように、今走の勝率と直接の因果関係はないものであっても、過大評価・過小評価により期待値が高くなるパターンが存在します。
勝率は低いが期待値は高くなるパターン
多くのファクターがこのパターンに該当します。
前走着順のように、勝率が高いことが明らかな馬に人気が集まり過剰人気となり、勝率が低い馬が過小評価となるパターンです。
前走着順以外にもう一つの例を示します。
こちらは前走上り3F順位毎の回収率と勝率をグラフ化したものです。
勝率は前走上り3F順位と比例していますが、回収率については反比例し8位から10位の回収率が高くなっています。
競馬新聞の馬柱に目立つように記載されており多くの人が目にしやすい情報の多くは、勝率と期待値が反比例する傾向にあります。
競馬の期待値は本来と定義と異なる方法で計算する
期待値計算の基本は、勝率×オッズです。
しかし、競馬は購入時点で最終オッズが不明なため、勝率と最終オッズの両方を算出できなければ期待値の計算ができません。
過去データの回収率を調べることで過大評価・過小評価されているファクターを見つけ、それを積み重ねることで、帰納法的に期待値を計算することが可能です。
過小評価されている馬は実力よりもオッズが高くなるため、期待値も高くなります。過小評価されるパターンは主に次の3パターンに分類可能です。
- 勝率が高く、期待値も高くなるパターン
ダートレースの枠番のように、有利不利が馬券購入者に広く認知されていない情報は、勝率と回収率が比例する傾向にあります。 - 勝率には影響しないが期待値が高くなるパターン
前走頭数のように、その数値自体が今走の勝率と直接の因果関係はないものであっても、間接的に期待値に影響があるパターンが存在します - 勝率は低いが期待値は高くなるパターン
上り3F順位のように、競馬新聞等で目立つ情報は、勝率と回収率が反比例する傾向にあります
過大評価・過小評価される傾向が存在するファクターを数多く見つけることで、期待値の精度は向上します。様々なファクターを、様々な角度から分析してみましょう。
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