競馬の斤量とは?決まり方と着順への影響|中央競馬5年分の実測

出馬表には、騎手と鞍などを合わせた重さの「斤量(負担重量)」が、馬ごとに載っています。この記事では、中央競馬(JRA)の公式のルールで斤量の決まり方を確かめ、着順との関係を5年分のレースで調べました。
データでは重い斤量の馬のほうがよく勝っていましたが、これは強い馬ほど重い斤量を背負うことが多いためと考えられます。全体では、斤量が重い馬ほど負けやすいという結果は出ませんでした。
斤量(負担重量)とは:騎手と鞍を合わせた重さ

JRAの競馬のルールでは、出走馬は「決められた負担重量(騎手、鞍などの総重量)を背負って出走しなければなりません」とされています。斤量は、この負担重量のことです。
JRAの競馬用語辞典によると、初期の競馬では「80斤、90斤といった斤(0.6キロ)が単位だった」ため、今でも負担重量を斤量と呼んでいます。
斤量は、出馬表に馬ごとの数字で載っています。出馬表や競馬新聞のどこを見ればよいかは、競馬新聞の見方をまとめた記事で紹介しています。
この記事は、中央競馬と地方競馬のAIの予想指数をレースの前日に公開している、競馬AIナビの運営者が書いています。
実際のレースでは、斤量はどのくらいの重さなのでしょうか。2021年6月から5年間のうち、丸1年がそろう2022年から2025年までを見ます。
平均は2022年が54.67kgで、2025年は55.68kgでした。
平地の最低負担重量は50kg(オープンのレースは49kg)で、2023年以降のレースで最も軽い斤量は49kgでした。

斤量の決まり方:馬齢・定量・別定・ハンデ
JRAの競馬のルールのページでは、「負担重量によるレースの種類」として、馬齢重量・定量・別定・ハンデキャップの4つが挙げられています。定量は別定の一種ですが、このページでは別の種類として示されています。
| 決まり方 | どんなレースか | 斤量の決め方 |
|---|---|---|
| 馬齢重量 | 2歳と3歳の、同じ年齢の馬だけのレース | 年齢と性別で決まります(今は牡・せんが2歳の9月まで55kg、2歳の10〜12月56kg、3歳57kg。牝はどれも55kg) |
| 定量 | 別定のなかで、年齢と性別を基準に決めるレース | 年齢と性別ごとに決まった重さで、収得賞金(これまでの成績で決まる賞金の額)では重くなりません |
| 別定 | レースごとに決め方の基準があるレース | 基本の重さに、収得賞金や勝利度数(勝った回数)などで重さを足します(3歳以上・4歳以上のレースの基本は、原則として5歳以上の牡・せんが平地58kg。オープンクラスなどの一部のレースは、基本の重さが別に決められています) |
| ハンデキャップ | 実績や最近の状態を考えて、勝つチャンスをそろえるレース | JRAのハンデキャップ作成委員が、1頭ずつ決めます |

JRAのルールのページには、「なお、GⅠレースは、定量または馬齢重量で行います」とも書かれています。
競馬施行規程では、負担重量の種類は3つ(年齢によるもの・ハンデキャップによるもの・収得賞金などの条件で出すもの)に分けられています。定量は別定と同じ3つ目に含まれます。
ハンデキャップ競走と別定戦の詳しい決まり方は、ハンデ戦と別定戦の違いをまとめた記事で紹介しています。
定量戦とは
定量戦は、別定のなかでも、馬の年齢と性別だけで斤量を決めるレースです。JRAの競馬番組では、「別定重量のうち、馬の年齢または性により定めるものを特に「定量」と記載する」とされています。
収得賞金が多い馬でも重くならないので、決められる斤量は、同じ年齢・同じ性別の馬なら同じです。騎手の減量があるレースでは、そこから軽くなる馬もいます。
3歳と古馬の差
3歳以上のレースでは、3歳馬は5歳以上の馬より、月と距離に応じて軽い斤量で走ります。この年齢による軽減を、アローワンスと呼びます。
オープンのレースを例に、軽くなる重さを距離と月ごとに表にまとめました。
| 距離 | 6月 | 12月 |
|---|---|---|
| 1,400m未満 | 3kg | 1kg |
| 2,200m以上 | 5kg | 2kg |
月が進むほど差が小さくなる仕組みです。4歳以上のレースでも、1,400m以上では1月(距離が長いほど3月まで)に、4歳馬が1kg軽くなります。
なお、ハンデキャップのレースは、このアローワンスではなく1頭ずつ決まります。
夏に3歳馬が古馬と走るときの斤量差と、そのときの結果の傾向は、夏競馬で3歳馬が走る理由を、古馬との斤量差と減量騎手で見た記事でまとめています。
牝馬と騎手の減量
定量と別定の3歳以上・4歳以上のレースでは、牝馬は牡馬より2kg軽くなります。ハンデキャップのレースは1頭ずつ決まります。
2歳と3歳の同じ年齢だけのレース(馬齢重量)では、2歳の9月までは牡馬・せん馬も牝馬も55kgで同じです。2歳の10〜12月は牝馬のほうが1kg、3歳は2kg軽くなります。
騎手にも減量があります。減る重さは騎手の区分で決まり、出馬表では区分ごとの記号で示されます。
- 見習騎手(女性騎手以外):勝利度数に応じて▲3kg・△2kg・☆1kg
- 女性の見習騎手:★4kg・▲3kg
- 見習騎手でない女性騎手:◇2kg
ただし、特別競走とハンデキャップ競走では、騎手の減量はありません。
2023年度に何が1kg上がったか

JRAは2023年度に、「騎手の健康と福祉および将来にわたる騎手の優秀な人材確保の観点から」負担重量を引き上げました。主な変更を表にまとめました。
| 項目 | 引き上げ前 | 引き上げ後 |
|---|---|---|
| 2歳の馬齢重量(牡・せん、9月まで) | 54kg | 55kg |
| 2歳の馬齢重量(牡・せん、10〜12月) | 55kg | 56kg |
| 2歳の馬齢重量(牝) | 54kg | 55kg |
| 別定の基礎の重さ(3歳以上・4歳以上の平地) | 57kg | 58kg |
| 最低負担重量(オープンのレース) | 48kg | 49kg |
| 最低負担重量(それ以外のレース) | 49kg | 50kg |
| 3歳の馬齢重量(牡・せん、9月まで) | 56kg | 57kg(2024年度から) |
| 3歳の馬齢重量(牝、9月まで) | 54kg | 55kg(2024年度から) |
3歳の馬齢重量の引き上げは、JRAの発表どおり、令和6年度からでした。
データでも、引き上げの時期に斤量が動いています。
先ほどの年ごとのグラフのとおり、斤量の平均は2022年の54.67kgから2023年は55.32kgへ上がりました。58kg以上の馬の割合は0.38%から15.07%になりました。
いちばん多い斤量も、引き上げに合わせて上がっています。
- 4歳以上の牡・せん(3歳以上・4歳以上の混合戦の1勝〜3勝クラス):2023年1月に57kgから58kgへ
- 3歳限定戦の牡・せん:2024年1月に56kgから57kgへ
年をまたいで斤量の数字を比べるときは、この1kgの引き上げ(3歳限定戦は2024年から)の分を頭に入れておくと、前後の年を同じ基準で見られます。
重い斤量の馬ほど勝っている?強い馬ほど重い斤量を背負う

斤量が、同じレースに出た馬の平均より0.25kg以上重い馬を「重い側」、0.25kg以上軽い馬を「軽い側」と呼びます。
2021年6月から5年間で、重い側の馬は、軽い側の馬より勝率も3着以内の割合も高い結果でした。
| 比べたもの | 重い側 | 軽い側 | 差 |
|---|---|---|---|
| 勝率 | 7.77% | 6.22% | 1.55% |
| 3着以内の割合 | 23.4% | 18.5% | 4.9% |
ただし、重い側には人気の馬が多く入っています。
斤量をレースの平均との差で5つに分けて、1〜3番人気の割合を見ました。−2kg前後より軽い馬は14.9%、+0.5〜+1.5kg重い馬は24.1%、+2kg前後より重い馬は21.8%でした。
別定のレースでは収得賞金が多い馬ほど、ハンデキャップのレースでは実績のある馬ほど重くなります。そのため、強い馬ほど重い斤量を背負うことが多くなります。
また、軽い側には、牡馬より2kg軽い牝馬や、古馬より軽い3歳馬も入りやすくなります。
次のグラフは、レースの平均との差で5つに分けた斤量ごとの勝率です。「やや重い」と「重い」を合わせた馬が重い側、「軽い」と「やや軽い」を合わせた馬が軽い側です。

勝率は、「軽い」の5.5%から「やや重い」の7.9%まで上がり、「重い」は6.6%でした。
重い側と軽い側の比較では、重量の種別(ハンデキャップや別定など)と騎手の減量を分けていません。軽い側には、減量のある騎手が乗る馬も入っています。
斤量が重い馬と軽い馬の回収率はどうなっている?

単勝と複勝の回収率を見てみましょう。芝とダートに分けて、グラフと表にまとめました。
回収率は、1頭に100円ずつ買ったときの、買った額に対する払戻の割合です。

| 芝・ダート | 単勝(重い側/軽い側) | 複勝(重い側/軽い側) |
|---|---|---|
| 芝 | 73.0%/69.2% | 73.5%/70.4% |
| ダート | 70.7%/71.4% | 74.4%/67.2% |
単勝と複勝の回収率は、芝でもダートでも、重い側も軽い側も100%を下回りました。
控除率は、馬券の売り上げのうち、払戻に回さない割合です。単勝と複勝の控除率は、どちらも20%です。
オッズどおりの勝率は、全馬の合計が100%になるようにオッズから直した値です。直し方は、単勝のオッズを勝つ確率に直す式と、人気別の勝率をまとめた記事(中央競馬)で説明しています。
期待値は、同じ買い方を続けたときに100円あたり平均で戻る額の見込みです。実際の勝率がオッズ(人気)どおりなら、これから単勝を買うときの期待値は控除率の分だけ100円を下回ります。
重馬場では斤量差の影響が大きくなる?

雨で馬場が重くなると、タイムの変わり方は芝とダートで逆になりやすくなります。芝は時計がかかり、ダートは砂が締まって速くなる傾向があります。
雨の日に芝とダートの走りやすさが変わる仕組みは、トラックバイアスをまとめた記事で紹介しています。馬場の状態(良・稍重・重と不良)ごとに、重い側と軽い側の勝率と3着以内の割合を、芝とダートに分けて表にしました。
| 芝の馬場 | 勝率(重い側/軽い側) | 3着以内の割合(重い側/軽い側) |
|---|---|---|
| 良 | 7.98%/6.42% | 24.0%/19.1% |
| 稍重 | 7.98%/6.38% | 24.0%/19.1% |
| 重・不良 | 7.81%/6.07% | 23.4%/18.9% |
| ダートの馬場 | 勝率(重い側/軽い側) | 3着以内の割合(重い側/軽い側) |
|---|---|---|
| 良 | 7.64%/5.96% | 23.0%/17.9% |
| 稍重 | 7.53%/6.22% | 23.0%/17.7% |
| 重・不良 | 7.52%/6.25% | 22.8%/18.3% |

芝でもダートでも、重・不良を含むどの馬場の状態でも、重い側の勝率は軽い側より高い値でした。ただし、重い側には人気の馬が多く入っています。
馬場の状態ごとの単勝と複勝の回収率も、芝とダートに分けて表にまとめました。
| 芝・ダートと馬場 | 単勝(重い側/軽い側) | 複勝(重い側/軽い側) |
|---|---|---|
| 芝・良 | 72.7%/66.2% | 73.4%/69.4% |
| 芝・稍重 | 71.5%/83.4% | 73.2%/73.8% |
| 芝・重・不良 | 81.2%/73.8% | 74.4%/75.8% |
| ダート・良 | 72.7%/66.6% | 74.6%/65.8% |
| ダート・稍重 | 64.3%/79.1% | 74.8%/68.6% |
| ダート・重・不良 | 70.3%/82.9% | 73.1%/71.9% |
馬場の状態ごとに見ても、単勝と複勝の回収率は、重い側も軽い側も100%を下回りました。
「斤量1kg=1馬身」はどこまで言える?

「斤量が1kg(1キロ)重いと約1馬身(約0.2秒)遅れる」という目安は、競馬でよく言われる経験則です。この記事では走破タイムではなく、勝率と3着以内の割合で調べています。
そのため、1kgで何馬身・何秒になるかは、この記事のデータでは確かめていません。「1kg=1馬身」は、公式の決まりでもありません。
斤量の差を重さの単位のポンドに直し、馬の強さを数字で比べるレーティングの考え方は、競馬のレーティングの見方をまとめた記事で紹介しています。
集計の条件
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 対象 | 中央競馬(JRA)の平地のレース(芝・ダート)で、単勝人気が付いた馬(出走取消と競走除外を除く) |
| 期間 | 2021年6月から5年間 |
| 数 | 16,628レース・229,808頭 |
| 重い側・軽い側 | 斤量がレースの平均より0.25kg以上重い馬と軽い馬 |
| データ | JRA(日本中央競馬会)のレースを、当サイトが独自に集計 |
よくある質問

斤量はどのように決まるのですか?いつ、誰が決めますか?
馬齢重量・定量・別定・ハンデキャップの4つの決まり方があります。馬齢重量と定量のレースは、年齢と性別の決まりで斤量が決まります。
別定のレースは、「出馬投票締切前日までの競走成績により決定」されます。ハンデキャップのレースは、JRAのハンデキャップ作成委員が1頭ずつ決めます。
斤量が軽い馬は有利ですか?
斤量が軽い側の馬の勝率は6.22%で、重い側の7.77%より低い値でした。ただし、重い側には人気の馬が多く入っています。
2021年6月から5年間の中央競馬(平地・16,628レース)で、レースの平均より斤量が軽い馬と重い馬を比べた結果です。
| 比べたもの | 軽い側 | 重い側 |
|---|---|---|
| 勝率 | 6.22% | 7.77% |
| 3着以内の割合 | 18.5% | 23.4% |
| 単勝の回収率 | 70.3% | 71.8% |
| 複勝の回収率 | 68.8% | 74.0% |
単勝と複勝の回収率は、軽い側も重い側も100%を下回りました。
斤量はどこで見られますか?
出馬表に、馬ごとの数字で載っています。騎手の減量がある場合は、▲△☆★◇の記号も付きます。
出馬表や競馬新聞の見方は、競馬新聞の見方をまとめた記事をご覧ください。
牝馬は何kg軽いのですか?
定量と別定の3歳以上・4歳以上のレースでは、牝馬は牡馬より2kg軽くなります。ハンデキャップのレースは1頭ずつ決まります。
2歳と3歳の同じ年齢だけのレース(馬齢重量)では、2歳の9月までは同じ55kgです。2歳の10〜12月は1kg、3歳は2kg軽くなります。
斤量の決まり方と比べ方を知って、予想指数を使ってみましょう!
この記事の要点をまとめます。
- 斤量(負担重量)は、騎手と鞍などを合わせて馬が背負う重さで、決まり方は馬齢重量・定量・別定・ハンデキャップの4つがある
- 2023年度に2歳の馬齢重量・別定の基礎の重さ・最低負担重量が1kgずつ上がった
- 3歳の馬齢重量は2024年度から上がっている
- 斤量が重い側の馬のほうが勝率が高いが、強い馬ほど重い斤量を背負うことが多い
- 2021年6月から5年間で、勝率は重い側7.77%・軽い側6.22%、3着以内は重い側23.4%・軽い側18.5%
- 重・不良でも、芝とダートのどちらも、重い側の勝率は軽い側より高い値だった
- 単勝と複勝の回収率は、芝でもダートでも、重い側も軽い側も100%を下回った
斤量は、出馬表で分かる要素の1つです。予想では斤量だけで決めず、ほかの要素や、レースの全馬の指数もあわせて見るのがおすすめです。
今週のレースの指数は、中央競馬(JRA)の予想指数のページでご覧ください。
当サイトでは、このようなデータ分析を基に、全レース・全馬の能力や期待値を指数化し、毎週無料で公開しています。
よろしければ週末の競馬予想の参考にご覧ください!
中央競馬(JRA)の全レース・全頭の予想指数(複勝確率予想・期待値予想・追い切り評価)を無料公開しています!>>>
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Contents
競馬初心者に向けた基礎知識の解説から、中央競馬(JRA)の競馬場ごとの特徴、そして過去のレースを統計で集計したデータ分析を紹介。
さらに独自の競馬AIを自作するためのノウハウについても解説します。


