盛岡競馬場コースの特徴と枠番・脚質の傾向【5年3,867レース】

競馬場は場所・コースによって様々な特徴があり、有利となる枠番や脚質なども変わってきます。
このページでは「盛岡競馬場」のレース傾向を、直近5年・3,867レース(約3万7千頭)の実測データで解説します。1番人気の信頼度、意見の割れる盛岡の枠順、そして盛岡の傾向が最もはっきり出る脚質、距離別の傾向を順に確認し、中央競馬との違いにも触れていきます。
盛岡は地方競馬で唯一の芝コースを持ち、地方では数少ない左回りの競馬場です。その盛岡の傾向を、集計期間とレース数を明示したうえで、すべて同一の集計条件による数字で確認していきます。
場別シリーズ第11弾として、園田や南関東4場(大井・川崎・船橋・浦和)と同じ形式でお届けします。
- 集計期間
- 2021年6月~2026年6月 計5年間
- 対象レース
- 盛岡競馬場の全レース 3,867レース・37,361頭(出走取消・競走除外は集計対象外)
- 回収率計算方法
- 単勝・複勝とも100円均等買い(払戻は公式の払戻データに基づき当サイトが集計)
- 補足
- 枠順の集計は5頭立て以上・馬番を頭数で3等分した「内・中・外」で判定
- 脚質はそのレースで実際に取った位置。最初のコーナーの通過順位で判定し、先頭=逃げ・出走頭数の3分の1以内=先行・3分の2以内=差し・それより後ろ=追込(判定できた馬は99.9%)
※本記事は過去データの傾向の集計であり、原因を証明するものではありません。
※過去のレースに対する成績であり、将来のレースにおいて同様のパフォーマンスを保証するものではありません。
次の図解は、本記事で分かる盛岡の傾向の早見まとめです。
盛岡競馬場の傾向 早見マップ

盛岡競馬場の基本情報

- 川崎・船橋・浦和と並ぶ数少ない左回り
- 地方では長めの直線と大きい高低差
- 全体の約5%を占める地方唯一の芝コース
- 主要4距離に分かれるレースの構成
盛岡競馬場は岩手県盛岡市にある競馬場で、愛称は「OROパーク」、岩手県競馬組合(岩手競馬)が運営しています。夏から秋にかけての盛岡開催が中心で、冬季などは同じ岩手の水沢競馬場が使われます。
コースは左回りで、地方競馬では南関東の川崎・船橋・浦和と並ぶ数少ない左回りのコースです。
ダートは1周1,600m、最後の直線(4コーナーからゴールまで)は約300mと、短い直線の競馬場が多い地方の中では長めに取られています。芝・ダートとも幅員は約25m、コース全体の高低差は約4mと、地方競馬としては大きい起伏があります。
そして盛岡の最大の個性が、地方競馬で唯一の芝コースを併設している点です。芝は1周1,400mで、本集計にも芝のレースが192レース(全体の約5%)含まれています。
残りの約95%はダートで、ダートだけで見ても1番人気の勝率は44.3%・枠の内÷外は1.00と、芝込みの通算値(1番人気43.9%・内÷外1.01)とほぼ同じです。そのため本記事の数字は、実質的にダートの傾向を表していると考えてよい内容です。
芝は1000m・1600m・1700m・2400mなどで施行されますが、レース数が少ないため、芝単独の枠や脚質までは深掘りしません。
フルゲートは14頭で、本集計でも14頭立て以上のレースが30ありました。12頭立てが上限の園田や金沢とは異なり、盛岡は14頭までの馬群がぶつかる競馬場です。
2018年からはナイター用の照明も整い、夕方から夜間のレースも行われています。
次のグラフは、盛岡で行われるレースの距離構成です。
盛岡競馬場の距離構成

主戦場は1200m(29.6%)・1400m(28.5%)・1600m(22.9%)・1000m(15.6%)の主要4距離で、この4つで全体の96.6%を占めます。1400mが68.6%を占める園田のような一極集中ではなく、4つの距離に分散しているのが盛岡の構成です。
なかでも1000mから1400mまでの短めの距離が計73.7%と多く、この「短距離戦の多さ」が、後で見る前有利の強さにも関わってきます。
1番人気の信頼度——14場で8番目の堅さ

次のグラフは、人気順別の勝率を盛岡と地方全体で並べたものです。
人気順別の勝率(盛岡vs地方全体)

盛岡の1番人気の勝率は43.9%・3着内率は75.5%です。地方14場では8番目にあたり、地方全体の44.3%とほぼ同じ水準です。
特に堅くもなければ荒れてもいない、地方の中では標準的な堅さの場と言えます。
盛岡の中でも、堅さは頭数次第で動きます。
出走頭数帯別の1番人気勝率(盛岡)

7頭以下のレースなら1番人気は47.1%勝ちますが、12~13頭では41.2%まで下がります(平均は9.7頭です)。頭数が増えて相手が多くなるほど、本命の取りこぼしが増えるという地方共通の傾向どおりです(14頭以上のレースは30と少なく、集計からは除いています)。
なお、一般論として「勝率が高い=馬券的な妙味がある(儲かる)」ではありません。盛岡の1番人気の単勝回収率は78.3%と、100%を下回ります。
盛岡は内枠有利か外枠有利か——実測はほぼ互角

- 馬番を3等分した内・中・外の勝率
- 中だけ一段低い枠の位置別の単勝回収率
- 馬場と距離で小さく振れる内外の向き
- 外枠有利が出にくいコース形状の理由
地方競馬の枠順は「小回りだから内枠有利」「砂のコースは外枠が伸びる」など、場によって語られ方が分かれます。盛岡ではどうかを実測で確かめます。
次のグラフは、馬番を内・中・外に3等分したときの勝率です。
枠の位置別の勝率(盛岡)

内10.6%・中9.9%・外10.5%と、3つの位置がほぼ横並びです。内÷外の勝率比は1.01です。
14場を外枠有利の強い順に並べると11番目にあたり、0.97~1.03の「ほぼ互角」ゾーンに収まります。
地方競馬の多くの場では、砂のコース特有の外枠有利がある程度出ます(地方全体の内÷外は0.86)。
しかし盛岡では、その外枠有利がほとんど出ません。地方でこの外枠有利が出ないのは、盛岡・大井・金沢・川崎といった数少ない場だけです。
回収率も見てみます。
枠の位置別の単勝回収率(盛岡)

単勝回収率は内74.9%・中62.9%・外75.5%です。内と外はほぼ同じ水準で、中の位置だけが一段低く出ています。
ただし単勝回収率は少数の高配当で大きく動くため、この落ち込みを枠の有利不利として読むのは早計です。3つの位置とも100%には届かず、勝率が横並びであることと合わせて、枠で買い分ける根拠は見当たりません。
この「枠がほぼ互角」という傾向も、馬場や距離で細かく見ると、向きが小さく振れます。
馬場状態別の内外バイアス(盛岡)

良では1.13とやや内寄りになる一方、渋ると稍重0.94・重0.77・不良0.96といずれも外寄りに振れます。ただし渋り方の強さと振れ幅は対応しておらず、馬場から枠の向きを決め打ちできるほど安定はしていません(重は540レース・不良は409レースの集計で誤差の幅があります)。
距離別の内外バイアス(盛岡)

距離別でも、1000m(1.08)・1200m(1.05)はやや内寄り、1400m(0.90)はやや外寄り、1600m(1.01)は互角と、距離が伸びるにつれて向きが一方向に動くわけではありません。園田のように「距離が伸びるほど外有利が薄れる」といった単調な変化は、盛岡では見られません。
まとめると、盛岡の枠は決め手になりにくいコースです。幅員が広く(約25m)、コーナーがゆるやかで直線も約300mと地方の中では長めのため、小回りの場で見られる最内の不利が出にくく、枠の有利不利がならされているものと考えられます。
盛岡では枠よりも、次章で見る脚質のほうがはっきりと結果に表れます。
脚質——逃げ÷追込の勝率比が14場で最も大きい場(14.6倍)

- 逃げ・先行・差し・追込の勝率の並び
- 14場2位の逃げの押し切り率
- 距離が短いほど強まる前有利
- 距離構成の違いを含んだ通算値への注意
この章の脚質は、レースの結果として分かる実際の位置取り(最初のコーナーの通過順位)で集計しています。そのため回収率(その買い方をした場合の損得)は掲載していません。
予想への活かし方は脚質の検証記事をご覧ください。
はじめに押さえたいのは、前の位置を取った馬が後方の馬より好成績という、地方14場すべてに共通する大前提です。実際に逃げた馬の勝率は地方全体で29.4%、追込に回った馬は2.9%となっています。
この章で確認するのは、その大前提の中で、盛岡が他場と比べてどの位置にいるかです。
次のグラフは、実際の位置取り別の勝率です。
実際の位置取り別の勝率(盛岡)

逃げ34.2%・先行15.5%・差し7.9%・追込2.3%となっています。実際に逃げた4,058頭のうち34.2%が勝利し、後方から追い込んだ13,087頭の勝率はわずか2.3%です。
逃げた馬がそのまま押し切る率で見ると、盛岡の34.2%は金沢の35.2%に次ぐ、14場で2番目の高さです。
そして後方の届きにくさを示す逃げ÷追込の勝率比は14.6倍で、これは14場で最も大きく、2位の浦和(13.8倍)を上回ります。地方全体の10.2倍、中央ダートの8.9倍と比べても、一段強い前有利です。
つまり盛岡は、逃げ切りが決まりやすいだけでなく、逃げと追込の勝率比が14場で最も大きい場です。押し切りやすさは14場2位、逃げ÷追込の勝率比は14場1位で、前が絶対的に強いコースと言えます。
この前有利は、距離が短いほど強くなります。
逃げ÷追込の勝率比は、1000mで27.83倍・1200mで18.07倍・1400mで13.40倍・1600mで8.91倍と、距離が伸びるにつれて一段ずつ小さくなります。特に1000mでは、逃げた653頭の勝率が42.9%なのに対し、追込に回った1,947頭の勝率は1.5%しかありません。
距離が短いほど後方から差を詰める時間が短くなるため、後方からの出番がほぼなくなるものと考えられます。盛岡は短距離戦が多いため、この短距離の前有利が全体の数字も押し上げています。
したがって14場1位という数字は、距離構成の違いも含んだ通算値であり、同じ距離どうしでそろえて比べたときの順位までを示すものではありません。
※実際の位置取りは馬の能力や展開と重なるため、位置取りだけの効果として読むには注意が必要です。
距離別の傾向まとめ

ここまでの内容を、主要4距離ごとに整理します。
| 距離 | レース数 | 1番人気勝率 | 枠(内÷外) | 逃げ÷追込 |
|---|---|---|---|---|
| 1000m | 602 | 45.5% | 1.08(やや内) | 27.83 |
| 1200m | 1,143 | 46.1% | 1.05(やや内) | 18.07 |
| 1400m | 1,101 | 45.0% | 0.90(やや外) | 13.40 |
| 1600m | 885 | 38.4% | 1.01(互角) | 8.91 |
※逃げ÷追込は距離が短いほど大きくなります。1000mの追込勝率は1.5%と特に低く、倍率が大きく出ています(実数は脚質の章をご覧ください)。
- 短い距離ほど前有利が極端に出ます。1000m・1200mは逃げ切りが最も決まりやすい距離です
- 枠は距離によって内寄り・外寄りが入れ替わり、一方向には定まりません。「枠より脚質」が盛岡の距離別に共通する見方です
- 1600mだけが1番人気の勝率38.4%と一段低く、1000m〜1400mの3距離は45%前後で並びます。距離が伸びると紛れが増えることによるものと考えられます
※1700m以上の距離はレース数が少ないため、距離別の集計からは割愛しています。表の数字は芝を含む通算です(芝は約5%)。
中央競馬場との違い

中央のダートに慣れた方向けに、同一基準の実測で違いを整理します。
| 指標 | 盛岡 | 地方全体 | 中央(ダート) |
|---|---|---|---|
| 1番人気の勝率 | 43.9% | 44.3% | 34.1% |
| 平均出走頭数 | 9.7頭 | 10.1頭 | 14.2頭 |
| 枠(内÷外の勝率比) | 1.01 | 0.86 | 0.84 |
| 逃げ÷追込(勝率比) | 14.6 | 10.2 | 8.9 |
※逃げ÷追込は、実際の位置取り(最初のコーナーの通過順位)による勝率比です。地方・中央とも同一の定義で集計しています。
盛岡の際立ちは2つあります。
1つ目は枠です。中央ダートでも地方全体でも、砂のコースでは外枠有利(内÷外0.84・0.86)がある程度出ます。
ところが盛岡の内÷外は1.01とほぼ互角で、砂のコースで出やすいはずの外枠有利が見られません。これは枠順の章で見たとおり、幅が広く直線も長いコース形状によるものと考えられます。
2つ目は脚質です。後方の届きにくさを示す逃げ÷追込は、中央ダートの8.9倍・地方全体の10.2倍に対して、盛岡は14.6倍です。
中央の感覚で「差しや追込が届くだろう」と考えると、盛岡では後方勢が想像以上に届かないことになります。
1番人気は中央より約10%堅く、平均出走頭数も9.7頭と中央(14.2頭)より小さいため、中央の感覚よりも人気サイド・前の位置で決まりやすい場です。
まとめ:盛岡の傾向を把握して馬券戦略を組み立てる

本記事の要点をまとめます。
- 盛岡の1番人気勝率は43.9%(14場中8位)で、地方の中では標準的な堅さです。7頭以下は47.1%、12~13頭は41.2%と頭数で動きます
- 枠は内10.6%・中9.9%・外10.5%とほぼ横並びで、内÷外1.01は、外枠有利の強い順で14場11番目の「ほぼ互角」。地方の多くで出る外枠有利が盛岡では出にくく、枠は決め手になりにくいコースです
- 脚質は前が絶対的に強く、実際に逃げた馬の押し切り率34.2%は14場2位、逃げ÷追込14.6倍は14場1位です
- 前有利は距離が短いほど極端で、1000mは逃げ42.9%・追込1.5%まで開きます。主戦場は1200m・1400m・1600m・1000mの4距離で分散しています
- 地方唯一の芝コースを併設し、左回りという珍しい形も盛岡ならではの個性です
どの傾向も「そのまま買えば儲かる」ものではありませんが、盛岡では枠よりも前の位置を取れるかどうかを重く見る、といった物差しとして組み合わせることで、長期的な予想の精度を支えてくれます。
場別シリーズとしては、園田や南関東4場(大井・川崎・船橋・浦和)に続く盛岡編(第11弾)です。地方競馬全体の傾向はまとめ記事で一覧できます。
地方競馬のデータ検証
- 地方競馬はデータで攻略できる?5年67,076レースの7つの傾向
- 地方競馬の枠順は内枠有利?68万頭のデータでは逆でした
- 地方競馬の1番人気はなぜ堅い?勝率44.3%と中央34.1%の差
- 地方競馬の脚質は「逃げ天国」?先頭で回った馬の勝率29.4%
競馬場ごとの特徴
- 大井競馬場コースの特徴と枠番・脚質の傾向【5年5,735レース】
- 浦和競馬場コースの特徴と枠番・脚質の傾向【5年3,363レース】
- 園田競馬場コースの特徴と枠番・脚質の傾向【5年8,065レース】
- 金沢競馬場コースの特徴と枠番・脚質の傾向【5年4,845レース】
- 水沢競馬場コースの特徴と枠番・脚質の傾向【5年3,480レース】
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