牝馬は長距離が苦手?性別と距離の関係から見る高期待値パターン
性別によって距離の得意・不得意は存在する?
今回はX(旧Twitter)でフォロワー様からリクエストをいただいた検証です。
牝馬と牡馬とで長距離成績や延長や短縮時に統計的に有為に差があったりするのでしょうか?
良く牝馬は長距離は苦手だと言われてたりするので。
特に延長の場合にどのようになるか気になります。
牝馬は長距離が苦手という説は正しいのか、そしてその説が正しいのであれば、距離延長や短縮でも一定の傾向がみられるのではないか、という仮説です。
では、そもそもなぜ牝馬は長距離が苦手とされるのでしょうか。
理由の一つとして、牡馬と牝馬における体力と持久力の違いが考えられます。
一般に、牝馬は牡馬に比べて体が小さく、筋肉質でないため、長距離レースにおいて必要とされる体力や持久力が若干劣るとされています。
一方、牡馬は体が大きく、より筋肉質であるため、長距離における持久走に適していると考えられます。
そういった一般論がデータ上でも見て取れるのか、
- 性別とレースの距離との関係
- 性別と距離延長・短縮との関係
について調べてみましょう。
若干ではあるが、牝馬は長距離が苦手と言える
まずは性別とレースの距離との関係を調べてみます。
なお、本検証においてはセン馬は牡馬と同一グループに分類しています。また、牝馬限定戦は分母から除外しています。
性別ごとのレース距離別の回収率
牡馬・セン馬については、距離によって回収率はほぼ変化していません。
一方で、牝馬については距離が長いほうが若干回収率が低くなっていることがわかります。
牡馬は距離延長、牝馬は距離短縮が有利
牝馬は若干ながらも長距離が苦手であることがわかりました。
それでは、「牝馬は長距離が苦手なのであれば、距離延長も苦手なのではないか」という仮説について調べてみましょう。
次のグラフは性別ごとに、前走からの距離短縮・延長を比較したものです。
前走からの距離変動ごとの回収率
まず、牝馬について距離短縮・延長を比較してみると、今走が距離短縮となる方が回収率は高く、逆に距離延長となる方が回収率が低くなっていることがわかります。
つまり、仮説通りの結果となっています。
これは前走で牝馬が苦手な長い距離を走った際に能力を発揮できず負けたことで、本来の実力よりも過小評価されることが多いためであると想定できます。
一方で牡馬セン馬については、若干ではありますが距離延長の方が回収率が高い傾向があります。
なお、性別に限らず同距離の場合の回収率が低くなっていますが、これは適正距離に出走してくる馬として馬券購入者に認識されやすく、過剰に人気しやすいからであり、一般的な傾向と言えます。
性別×距離帯×距離増減により見える傾向
各性別毎に、距離増減に関する傾向が見えてきました。ここでさらに深く分析してみましょう。
距離短縮の馬、距離延長の馬に分け、性別と距離帯について傾向を確認してみます。なお、2,500m以上のレースについては母数が少なく、傾向把握を阻害するため割愛しています。
距離短縮馬同士では全体的に牝馬優位
まずは距離短縮馬同士で抽出し、距離帯と性別の関係を比較してみます。
距離短縮馬の距離帯ごとの回収率
距離短縮の馬同士では、やはり全般的に牝馬の方が回収率が高くなっています。
さらに、もともと牝馬が長距離と比べて相対的に回収率が高い短距離(1,000m~1,600m)では、より高い回収率となっていることがわかります。
距離延長馬同士では全体的に牡馬優位
次は距離延長馬同士で抽出し、距離帯と性別の関係を比較してみます。
距離延長馬の距離帯ごとの回収率
距離延長の馬については、全般的には牡馬の方が回収率が高くなっており、長距離はより差が大きくなっていることがわかります。
一方で、1,000~1,300mの短距離戦に限っては、距離延長とは言えそもそもの距離が短いため、牝馬の回収率が牡馬を大きく上回っています。
牝馬は短距離・距離短縮を狙え!
今回はXのフォロワー様からのリクエストで、性別と距離の関係について調べてみました。
全体的な傾向として牝馬は距離が長いレースの方が苦手という結果でしたが、その情報を加味して前走の評価を行っている馬券購入者が少ないため、前走からの距離の短縮・延長により期待値が発生します。
今回の分析結果を期待値の観点から総括すると、次の傾向があると考えられます。