地方競馬

地方競馬はデータで攻略できる?5年67,076レースの7つの傾向

KeibaAiNavi
曇天の地方競馬場のダートコース。内ラチ沿いに縦長で連なる競走馬の一団が、砂を巻き上げながら直線を走っている

地方競馬は中央競馬と同じ感覚で予想すると、意外なところで外してしまいます。コースも頭数もレース体系も違うため、通用する「定石」が少しずつ違うからです。

このページでは、地方競馬14場・直近5年・67,076レース(約68万頭)の実測データから、馬券検討の前提になる7つの傾向をまとめました。

この記事を読めば、あなたは以下のことができるようになります。

  • 地方競馬の1番人気・枠順・脚質・競馬場ごとの傾向を、実測の数字で押さえられる
  • 「内枠有利」は逆、「叩き2走目は買い」は買われ過ぎ、というように、通説どおりにいかない点を見分けられる
  • 中央競馬と地方競馬の構造の違いを、同じ基準の数字で比較できる

各テーマの詳しい検証は個別の記事で掘り下げていきます。このページは全体の入口として、要点と数字だけを一気に確認できる構成です

  • 集計期間
    • 2021年6月~2026年6月 計5年間
  • 対象レース
    • 地方競馬14場の平地全レース(ばんえい競馬を除く) 67,076レース・679,804頭
    • 比較用として、同期間の中央競馬ダートレース 8,331レース・118,026頭
  • 回収率計算方法
    • 単勝・複勝とも100円均等買い(払戻は公式の払戻データに基づき当サイトが集計)
  • 除外条件
    • 出走取消・競走除外となった馬は集計対象外
  • 脚質の判定方法(傾向3)
    • そのレースで実際に取った位置取りで集計。最初のコーナーの通過順位が先頭=逃げ・出走頭数の3分の1以内=先行・3分の2以内=差し・それより後ろ=追込(判定できた馬は全体の99.9%)

※地方競馬のレースはほぼ全てダートですが、盛岡競馬場の芝レースを少数含みます。

※本記事は過去データの傾向の集計であり、原因を証明するものではありません。

※過去のレースに対する成績であり、将来のレースにおいて同様のパフォーマンスを保証するものではありません。

次の図解は、この記事で扱う7つの傾向の全体マップです。気になる章から読んでいただいても大丈夫です。

地方競馬データ攻略の全体マップ

図解:地方競馬データ攻略の全体マップ(7つの傾向と対応する章)

前提:「必ず儲かる買い方」は存在しない

机の上に置かれた無地のノートと万年筆、電卓、眼鏡を真上から見た静物。派手さのない落ち着いた机上

地方競馬には、そのまま買い続けて儲かる買い方はありません

この5年間の全レース・全馬に単勝100円を買い続けた場合の回収率は69.4%、複勝でも70.3%です。馬券の売上から主催者の取り分が引かれる仕組み上、全体の平均回収率は必ず100%を下回ります

そのため、これから紹介する傾向はどれも「そのまま買えば儲かる法則」ではありません。有利な条件と不利な条件を見分けるための、相対的な物差しとしてご活用ください

また、本記事では勝率と回収率を分けて示します。

一般論として「勝率が高い=馬券的な妙味がある(儲かる)」ではありません。勝率はレースの着順に関する傾向を、回収率はオッズ(馬券購入者の評価)がその傾向をどこまで織り込んでいるかを表します。

傾向1:1番人気の勝率は44.3%——中央より約10%堅い

地方競馬のダートコースのゴール前。内ラチ沿いを走る先頭の1頭が、密集した後続を1馬身半離して抜け出している
  • 中央ダート34.1%との勝率の開き
  • 7頭以下と15~16頭で開く勝率の差
  • 平均10.1頭という頭数の少なさ

地方競馬の1番人気は、5年間で勝率44.3%・3着内率75.8%です。

次のグラフは、同じ期間・同じ集計方法で算出した中央競馬ダートとの比較です。

1番人気の勝率(地方vs中央ダート)

1番人気の勝率 地方競馬と中央競馬ダートの比較

中央ダートの1番人気勝率は34.1%ですから、地方は約10%高い計算になります。「地方は堅い」というイメージは、少なくとも1番人気の勝率に関しては本当です

ただし、堅さは一律ではありません。地方競馬の大きな特徴は、出走頭数によって1番人気の勝率が大きく動くことです。

次のグラフは、出走頭数別に見た地方競馬の1番人気勝率です。

出走頭数別の1番人気勝率(地方競馬)

地方競馬 出走頭数別の1番人気勝率

7頭以下では50.7%と半分以上勝つ一方、15~16頭では37.4%まで下がります(15~16頭の該当は846レースと少なめです)。

地方競馬は平均10.1頭と中央(同14.2頭)より少頭数です。この頭数の少なさが「地方の堅さ」の大きな部分を占めていると考えられます。

頭数をそろえた地方vs中央の詳しい比較は、1番人気の検証記事で掘り下げています。

傾向2:「内枠有利」の通説はダートでは逆

地方競馬のダートコースを正面から捉えた馬群。前を行く馬たちが蹴り上げた砂が胸の高さに帯状に漂い、内側の馬ほどその中に霞んでいる

競馬の通説で最も有名な「内枠有利」は、地方競馬では成立していません

次のグラフは、馬番を内・外に分けたときの勝率を、地方と中央ダートで並べたものです。

内枠と外枠の勝率(地方vs中央ダート)

内枠と外枠の勝率 地方と中央ダートの比較

地方は内枠9.3%に対して外枠10.7%、中央ダートも内枠6.5%に対して外枠7.7%と、どちらも外枠の方が勝率が高くなっています

特に不利なのが最内です。地方の12頭立てに限ると、馬番1の勝率は6.4%で、枠に有利不利がなければ8.3%になるはずのところを、明確に下回っています

ラチ沿いの砂が深くなりやすいことや、スタート直後に砂を被りやすいことによるものと考えられます

なお、地方でこの外枠有利がはっきりしているのは、大半を占める12頭立て以下のレースです。13頭立て以上では内外の差はほとんど見られません

※枠順の集計は5頭立て以上のレースが対象です。詳しい検証(競馬場別・距離別・馬場状態別)は、枠順の個別記事で紹介しています。

傾向3:脚質は逃げ・先行が圧倒的——差しの届きやすさは場で変わる

地方競馬のダートコースで、内ラチ沿いを単騎で先頭を走る競走馬と騎手。後続の一団は数馬身うしろに固まっている
  • 実際に取った位置取りという集計の前提
  • 逃げから追込まで段階的に下がる勝率
  • 距離帯で変わる前有利の強さ
  • 競馬場別に見た逃げ÷追込の勝率比

地方競馬は、前の位置を取った馬ほど勝ちやすくなっています。予想で脚質を見逃せない理由がここにあります。

この章の脚質は、過去のレースぶりから推測した予想用の分類ではなく、そのレースで実際に取った位置取り(最初のコーナーの通過順位から判定)で集計しています。

次のグラフは、実際の位置取り別の勝率です。

実際の位置取り別の勝率(地方競馬)

地方競馬 実際の位置取り別の勝率

逃げ29.4%・先行15.2%・差し7.9%・追込2.9%と、前の位置を取った馬ほど段階的に勝率が高くなっています。勝ち馬の63.0%は逃げか先行の馬です。

前有利はダート競馬の大前提で、同じ集計では中央ダートでも逃げの勝率20.3%は追込(2.3%)の8.9倍あります。地方はその差がさらに大きく、逃げの勝率は追込の10.2倍となっています

地方は中央に比べて1周が小さくコーナーのきつい競馬場が多く、直線も短めの場が中心です。後ろから差を詰める余地が乏しいことによるものと考えられます

なお、この章の脚質はレースの結果として分かる実際の位置取りで集計しているため、回収率(その買い方をした場合の損得)は掲載していません。予想への活かし方は、脚質の検証記事をご覧ください。

この「前有利」の強さは距離と競馬場で大きく変わります1300m未満の短距離では逃げの勝率は追込の20.9倍に達しますが、1700~1900mの中距離では5.6倍まで縮まります(2000m以上では7.1倍と再びやや開きます)。

ただし、場ごとの差は直線の長さだけで決まるわけではありません。

次のグラフは、競馬場別の「前有利の強さ」(逃げ÷追込の勝率比)です。

競馬場別の前有利の強さ(逃げ÷追込)

競馬場別の前有利の強さ 逃げと追込の勝率比

後方からの届きにくさ(逃げ÷追込)が最も大きいのは盛岡(14.6倍)・浦和(13.8倍)・大井(12.2倍)です。逆に笠松(5.8倍)・姫路(7.3倍)・船橋(7.9倍)は、他場と比べれば差しが相対的に届きやすい競馬場です

※集計期間中に、名古屋競馬場の弥富への移転(2022年4月)と、船橋競馬場の本馬場リニューアル(2025年3月)がありました。本記事の競馬場別の集計はいずれも移転・改修の前後を合わせたもので、名古屋を移転後だけで集計すると逃げ÷追込は7.9倍・内÷外は0.70となります。移転後・改修後の数値は各競馬場の個別記事で解説しています。

ただし、どの場でも逃げ・先行が差し・追込より好成績という大前提は変わりません。「差しが届きやすい」は、前有利の中での相対的な評価として捉えてみてください。

※前の位置を取れる馬には能力上位の馬も多く含まれるため、位置取りだけの効果として読むには注意が必要です。

傾向4:競馬場ごとに「堅さ」がまるで違う

夕方の小さな地方競馬場の全景。手前にスタンドと立ち見の広場、その先の外ラチの向こうに砂のコースが広がり、さらに向こうは内馬場の芝生

同じ地方競馬でも、堅い場と荒れる場の差は想像以上に大きいです。

次のグラフは、競馬場別の1番人気勝率です。

競馬場別の1番人気勝率(地方14場)

地方競馬 競馬場別の1番人気勝率

最も堅いのは金沢の50.0%で、最も荒れるのは浦和の39.5%です。同じ「地方の1番人気」でも10%以上の開きがあります

この差には出走頭数が関係していると考えられます金沢は平均8.8頭と少頭数のレースが多く、傾向1で見たとおり少頭数ほど1番人気は勝ちやすいためです(多頭数の大井は平均12.2頭で勝率40.9%です)。

一方で、最も荒れる浦和の平均頭数は10.7頭と全体並みです。頭数だけでは説明しきれない、場ごとの個性もあります

各場の詳しい個性(堅さ・枠・脚質・距離)は、場別シリーズ(全14場)で1場ずつ紹介しています。

傾向5:本命は複勝・中穴は単勝が相対的に得

地方競馬場の場内で、券売機の並ぶ一角に立つ人の後ろ姿。機械の表示は焦点の外でぼやけている

同じ馬を買うにも、券種によって長期の回収率は変わります。

次のグラフは、人気帯別に単勝と複勝の回収率を並べたものです(複勝が発売される5頭立て以上で集計)。

人気帯別の単勝・複勝回収率(地方競馬)

地方競馬 人気帯別の単勝と複勝の回収率比較

1番人気は複勝88.5%に対して単勝79.4%と、複勝が9%以上有利です。逆に4~6番人気では単勝73.0%・複勝69.8%と、単勝側に傾きます。

特に、単勝オッズ1.4倍以下の断然人気は3着内率91.1%・複勝回収率95.5%と、本記事で取り上げた回収率のなかでは最も100%に近い水準です。それでも100%には届かない点は、前提の章のとおりです。

券種の使い分けをオッズ帯まで細かく見た検証は、単勝と複勝の使い分けの記事で解説しています。

傾向6:休み明けは軽視され、叩き2走目は買われ過ぎる

朝の牧場の放牧地で、柵に囲まれた青草を食むサラブレッド。奥には低い丘と防風林が見える
  • 前走からの間隔別に見た勝率
  • 休み明け初戦と叩き2走目の単勝回収率
  • 勝率が同じでも回収率が分かれる理由

「休み明け(休養明け)は割引、使って2走目から」という中央競馬の常識は、地方競馬では逆に働いています

次のグラフは、前走からの間隔別の勝率です。

レース間隔別の勝率(地方競馬)

地方競馬 レース間隔別の勝率

連闘8.7%・中2週8.4%に対して、間隔が空くほど勝率は上がり2か月以上の休み明けが12.8%と最も高くなっています。

回収率で見ると、馬券購入者の評価とのズレがより分かりやすくなります。

ローテーション別の単勝回収率(地方競馬)

地方競馬 ローテーション別の単勝回収率

※このグラフの3区分は、中9週以上空けた「休み明け初戦」と、その次走(叩き2走目)・それ以外(通常ローテ)を比べた集計です。先ほどのグラフの「休養(2か月~)」とは区切りがわずかに異なります。

休み明け初戦の単勝回収率75.8%に対して、その次の叩き2走目は64.5%と大きく落ち込みます(通常ローテは69.3%)。勝率はどちらも12%台でほぼ同じなのに、回収率だけ差がつく形です。

「休み明けを一度使って上積み」という期待で叩き2走目が買われ過ぎ、逆に休み明けは軽視されている、という馬券購入者の癖によるものと考えられます

※休み明けに出走できる馬は状態の良い馬に偏るため、この数字には馬の選ばれ方の影響も含まれます。

傾向7:地方の砂は大型馬の舞台

地方競馬場のパドックを周回する大型の競走馬。引き手が首の横を並んで歩き、尻と肩の筋肉の量感がはっきり分かる

地方競馬では馬格がはっきり成績に出ます。

次のグラフは、馬体重別の勝率です。

馬体重別の勝率(地方競馬)

地方競馬 馬体重別の勝率

429kg以下の勝率5.8%に対して、520kg以上は13.7%です。大型馬ほど段階的に勝率が上がっています。

回収率も同じ方向です。

馬体重別の単勝回収率(地方競馬)

地方競馬 馬体重別の単勝回収率

429kg以下の59.4%に対して520kg以上は75.0%と、勝率の差がオッズに織り込み切れていません。同じ1番人気に限っても、429kg以下の回収率72.7%に対して520kg以上は84.0%です。

小柄な人気馬はやや割高に、大型馬はやや割安に買われる傾向がある、と言えます。

※馬体重は馬の能力や性別・年齢とも重なるため、体重だけの効果として読むには注意が必要です。

中央競馬との違いを数字で整理する

満員の大観衆を背に、中央競馬のダートコースを追い比べる競走馬と騎手たち。砂を蹴立てて一頭が抜け出そうとしている

最後に、ここまでの内容を中央競馬(ダート)との比較表で整理します。すべて同じ期間・同じ集計方法の数字です

指標地方競馬中央競馬(ダート)
1番人気の勝率44.3%34.1%
1番人気の3着内率75.8%65.2%
1番人気の単勝オッズ(中央値)1.9倍2.5倍
平均出走頭数10.1頭14.2頭
1頭が抜けて評価されているレースの割合31.5%18.9%
枠順の傾向(内÷外の勝率比)0.86(外有利)0.84(外有利)

※1頭が抜けて評価されているレースの割合=2番人気のオッズが1番人気の2.5倍以上あるレースの割合。

まとめると、地方競馬は「少頭数で、1頭が抜けて評価されやすく、1番人気が堅い」世界です。ただし馬券購入者もこの堅さを織り込んでおり、地方の1番人気は中央より低いオッズ(中央値1.9倍)で売れています。

一方で、枠順の「外有利」のように、地方と中央で共通するダートの構造もあります。違いと共通点を数字で押さえておくことが、地方競馬攻略の近道と言えるでしょう

まとめ:7つの傾向を物差しに、データで地方競馬を攻略しよう

夜の自宅のテーブルで、ノートパソコンに表示した棒グラフと手元のノートを見比べる女性

本記事の7つの傾向をまとめます。

  • 1番人気は勝率44.3%と中央より堅く、少頭数のレースほどさらに堅くなります
  • 「内枠有利」はダートでは逆で、地方・中央とも外枠がやや有利です(地方で差がはっきりしているのは12頭立て以下のレースです)
  • 脚質は実際の位置取りで見ると逃げ・先行が圧倒的で、後方からの届きにくさ(逃げ÷追込)は盛岡・浦和・大井が特に大きくなっています
  • 堅い場(金沢)と荒れる場(浦和)の差は10%以上あります
  • 券種は本命なら複勝、中穴なら単勝が相対的に有利です
  • 休み明けは軽視されがちで、叩き2走目は買われ過ぎの傾向があります
  • 馬体重は大型有利で、同じ人気でも大型馬の方が割安です

どの傾向も単独で「儲かる法則」にはなりませんが、人気馬を評価する際の加点・減点材料になります

1番人気・枠順・脚質・競馬場別・券種の詳しい検証記事は、このページからまとめてご覧いただけます。気になる傾向があれば、ぜひ個別記事もご覧ください。

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