地方競馬

名古屋競馬場コースの特徴と枠番・脚質の傾向【移転後4年】

KeibaAiNavi
名古屋(弥富)競馬場をイメージした砂のコース。内ラチ沿いに一列で連なる競走馬の一団が、砂を巻き上げながら走っている

競馬場は場所・コースによって様々な特徴があり、有利となる枠番や脚質なども変わってきます

このページでは「名古屋競馬場」のレース傾向を、弥富へ移転した後・約4年・5,755レースの実測データで解説します。1番人気の信頼度、はっきりした「弥富の枠順」の傾向、脚質、距離別の傾向を順に確認し、中央競馬との違いにも触れていきます。

名古屋競馬場は2022年4月に名古屋市から弥富市へ全面移転し、コースそのものが新しくなりました。そのため本記事では、集計を移転後(弥富の新コース)に限定し、すべて同一の集計条件による数字で確認していきます。

場別シリーズ第14弾・最終回として、地方競馬14場と同じ形式でお届けします

  • 集計期間
    • 2022年4月~2026年6月 約4年間(弥富へ移転してから)
  • 対象レース
    • 移転後の名古屋競馬場の全レース 5,755レース・63,211頭(出走取消・競走除外は集計対象外)
  • 回収率計算方法
    • 単勝・複勝とも100円均等買い(払戻は公式の払戻データに基づき当サイトが集計)
  • 補足
    • 枠順の集計は5頭立て以上・馬番を頭数で3等分した「内・中・外」で判定
    • 脚質はそのレースで実際に取った位置。最初のコーナーの通過順位で判定し、先頭=逃げ・出走頭数の3分の1以内=先行・3分の2以内=差し・それより後ろ=追込(判定できた馬は99.9%)
    • 比較に使う地方全体・中央(ダート)の数字は直近5年(2021年6月~2026年6月)の集計です

※本記事は過去データの傾向の集計であり、原因を証明するものではありません。

※過去のレースに対する成績であり、将来のレースにおいて同様のパフォーマンスを保証するものではありません。

次の図解は、本記事で分かる名古屋(弥富)の傾向の早見まとめです。

名古屋競馬場(弥富)の傾向 早見マップ

図解:名古屋競馬場(弥富)の傾向早見マップ(堅さ・枠順・脚質・距離)

名古屋競馬場(弥富)の基本情報

名古屋(弥富)競馬場をイメージした地方競馬場の全景。手前にスタンドと立ち見の広場、その先の外ラチの向こうに砂のコースが広がっている
  • 2022年4月の名古屋市から弥富市への移転
  • 旧・土古と変わった1周・直線・コース幅
  • 集計を移転後に絞った理由
  • 1500mに偏った移転後の距離構成

名古屋競馬場は愛知県弥富市にある競馬場で、愛知県競馬組合が運営する「名古屋けいば」(現在は「金シャチけいばNAGOYA」のブランド)の舞台です。ナイター開催も行われています。

現在のコースは2022年4月8日に開場した新しいものです。それ以前の名古屋競馬場は名古屋市中川区(通称「土古(どんこ)」)にありましたが、弥富市へ全面移転しました。

新コースは右回りで、1周は約1,180m、ゴール前の直線は約240mです。旧・土古(1周約1,100m・直線約194m)と比べてコースも直線も延長され、コース幅も約30mへと広くなりました

第3コーナーから第4コーナーにかけては、出口に向かって半径が小さくなるスパイラルカーブが採用されています。フルゲートは12頭です(本集計の移転後データでも、最大は12頭立てとなっています)。

ここで、集計を移転後に限定した理由に触れておきます。

旧・土古の主戦場は1400mや1600mなど、新コースとは異なる距離体系でした。移転で使われる距離そのものが変わったため、旧コースを含めた5年通算では傾向が混ざってしまいます

そこで本記事は、弥富の新コースだけの傾向を見るために、集計を移転後に絞っています

次のグラフは、移転後の名古屋(弥富)で行われるレースの距離構成です。

名古屋競馬場(弥富)の距離構成

名古屋競馬場(弥富) 距離別のレース数構成比

主戦場は1500mで、全体の66.6%を占めます1500mに大きく偏った構成で、続くのが1700m(13.5%)・920m(8.5%)・1400m(8.4%)です。

920mという短距離や2000mといった距離も組まれますが、レース数の中心は1500mにあります。旧・土古の時代とは主戦場そのものが移っている点が、移転後の名古屋を見るうえでの出発点になります。

移転後の1番人気の信頼度

名古屋(弥富)競馬場をイメージした砂のコースのゴール前。内ラチ沿いを走る先頭の1頭が後続を離して抜け出している

次のグラフは、人気順別の勝率を名古屋(弥富)と地方全体で並べたものです。

人気順別の勝率(名古屋(弥富)vs地方全体)

名古屋競馬場(弥富)と地方全体の人気順別勝率の比較

移転後の名古屋の1番人気の勝率は42.5%・3着内率は73.8%です。地方全体の44.3%をわずかに下回り、人気サイドがやや割れやすい側と言えます。

2番人気以下の勝率も地方全体とほぼ重なっており、名古屋の人気順の信頼度は地方の標準的な水準です

もっとも、後ほど見る中央競馬(1番人気34.1%)と比べれば、1番人気は8%ほど堅い数字です。

名古屋の中でも、堅さは頭数で少し動きます。

出走頭数帯別の1番人気勝率(名古屋(弥富))

名古屋競馬場(弥富) 出走頭数帯別の1番人気勝率

8~9頭では1番人気が42.9%勝ちますが、フルゲートの12頭立てでは41.8%とわずかに下がります(平均は11.0頭です)。変動の幅は小さく、頭数が増えても大きくは崩れません。

なお、一般論として「勝率が高い=馬券的な妙味がある(儲かる)」ではありません。名古屋の1番人気の単勝回収率は78.7%と、100%を下回ります

名古屋(弥富)は内枠有利か外枠有利か

名古屋(弥富)競馬場をイメージした砂のコースで、内ラチ沿いを走る最内の馬と騎手が、前を行く馬たちの蹴り上げた砂を顔から浴びている
  • 内・中・外の3分割で見た勝率の並び
  • 内枠と外枠で17%前後開く単勝回収率
  • 良から不良へ渋るほど広がる内外差
  • 920mで最も強く1700mで薄れる外有利

新しくなった弥富のコースで、枠順はどちらが有利なのかを実測で確かめます。次のグラフは、馬番を内・中・外に3等分したときの勝率です。

枠の位置別の勝率(名古屋(弥富))

名古屋競馬場(弥富) 枠の位置別の勝率(内・中・外の3分割)

内7.6%・中9.1%・外10.7%と、外に行くほど勝率が上がる階段になっています。内÷外の勝率比は0.70で、地方全体の0.86・中央ダートの0.84よりも一段強い外枠有利です。

地方の中でも外枠有利がはっきり出る部類と言えます。

答えは「外枠有利」でした。生まれ変わった弥富のコースは、外めの枠のほうが好成績のコースです。

回収率で見ると、外枠の有利がオッズに反映しきれていないことが分かります。

枠の位置別の単勝回収率(名古屋(弥富))

名古屋競馬場(弥富) 枠の位置別の単勝回収率

単勝回収率は内59.6%・中73.2%・外76.7%と、内と外で17%前後の開きがあります。内枠の馬が実力以上に買われ、外枠の有利がオッズに織り込まれていない傾向が読み取れます。

ただし外枠でも回収率は100%に届きません。枠だけで買う戦略が成り立たないのは他場と同じです。

※回収率は少数の高配当に大きく動かされるため、勝率の差ほど安定した数字ではありません。

馬場状態別の内外バイアス(名古屋(弥富))

名古屋競馬場(弥富) 馬場状態別の内外バイアス(内÷外の勝率比)

良0.72・稍重0.70・重0.66・不良0.65と、馬場が渋る(水を含む)ほど外有利が強まります

1番人気の勝率は、4つの馬場の中では重の38.4%が最も低くなっています。馬場が渋るときは内枠の取りこぼしに、とくに重では人気サイドの取りこぼしにも注意したいところです(不良は516レースの集計で、誤差の幅がある点にご注意ください)。

そして弥富の枠を語るうえで大切なのが、距離との関係です。

距離別の内外バイアス(名古屋(弥富))

名古屋競馬場(弥富) 距離別の内外バイアス(内÷外の勝率比)

920m(0.56)・1400m(0.69)・1500m(0.71)・1700m(0.84)と、距離が短いほど外有利が強く、距離が伸びるにつれて薄れていきます主戦場の1500mでも0.71と、外有利ははっきり残っています(2000mは102レースとレース数が少ないため、この傾向からは外して見ています)。

最内の不利は、ラチ沿いの砂が深くなりやすいことや、スタート直後に前の馬の砂を被りやすいことによるものと考えられます短距離ほどこの影響を巻き返す余地がなく、外有利が強く出るという見方は実測の傾向とも合っています。

なお、短距離では出走する馬の能力差の偏りも数字に影響し得ます。

脚質——逃げが有利、ただし後方の届きにくさは地方の中では穏やか

名古屋(弥富)競馬場をイメージした砂のコースで、内ラチ沿いを単騎で先頭を走る競走馬と騎手。後続の一団は数馬身うしろに固まっている
  • 逃げ・先行・差し・追込の勝率の並び
  • 押し切り率の低さに含まれる頭数の影響
  • 2回に1回近く押し切る920mの逃げ
  • 距離が伸びるほど縮まる逃げと追込の差

この章の脚質は、レースの結果として分かる実際の位置取り(最初のコーナーの通過順位)で集計しています。そのため回収率(その買い方をした場合の損得)は掲載していません

予想への活かし方脚質の検証記事をご覧ください。

はじめに押さえたいのは、前の位置を取った馬が後方の馬より好成績という、地方14場すべてに共通する大前提です。実際に逃げた馬の勝率は地方全体で29.4%、追込に回った馬は2.9%となっています。

この章で確認するのは、その大前提の中で、名古屋(弥富)が他場と比べてどの位置にいるかです。

次のグラフは、実際の位置取り別の勝率です。

実際の位置取り別の勝率(名古屋(弥富))

名古屋競馬場(弥富) 実際の位置取り別の勝率(最初のコーナー通過順から判定)

逃げ24.2%・先行15.1%・差し7.4%・追込3.1%となっています。前が有利という大前提はここでも変わりません。

逃げた馬がそのまま押し切る率で見ると、名古屋の24.2%は地方全体の29.4%より低めです。後方の届きにくさを示す逃げ÷追込の勝率比も7.9倍で、地方全体の10.2倍・中央ダートの8.9倍より小さい数字です。

つまり名古屋(弥富)は、前有利という大前提は共通しつつ、押し切りやすさも後方の届きにくさもともに地方の標準より穏やかで、その中では後方が相対的に届きやすい部類と言えます

なお、名古屋の平均出走頭数は11.0頭とやや多めです。頭数が多い場ほど各脚質の勝率は下がりやすいため、押し切り率の低さにはこの影響も含まれています。

一方で、距離によって傾向は大きく変わります。とくにはっきり出るのが920mです。

実際に逃げた500頭の勝率は46.2%と、2回に1回近くそのまま押し切ります。対して追込に回った1,892頭の勝率はわずか1.0%で、倍率にすると48.56倍まで開きます。

920mでは後方からの出番はほぼなく、スタート直後に取った位置がそのまま結果に出ているものと考えられます。

逆に距離が伸びると差が縮み、1700mでは逃げ÷追込は4.11倍まで落ち着きます。「名古屋=前残り」の印象は、920mのような短距離による部分が大きいと言えます

※実際の位置取りは馬の能力や展開と重なるため、位置取りだけの効果として読むには注意が必要です。

距離別の傾向まとめ

名古屋(弥富)競馬場をイメージした砂のコース。レース前のハロー掛けを終えた無人の走路が、走行方向に走る細い筋を残して奥へ続いている

ここまでの内容を、主要距離ごとに整理します。

距離レース数1番人気勝率枠(内÷外)逃げ÷追込
920m49246.7%0.56(外有利)48.56※
1400m48243.6%0.69(外有利)9.50
1500m3,83342.4%0.71(外有利)7.26
1700m77839.8%0.84(やや外有利)4.11
2000m10235.3%※0.59(外有利)※データ少

※920mの逃げ÷追込48.56は、追込に回った馬の勝率が1.0%と低いことによる大きな倍率です(実数は脚質の章をご覧ください)。本記事の勝率・回収率は小数第1位に丸めて表示し、比率は丸める前の値から計算しています。2000mは102レースと数が少なく、傾向としてご覧ください。

  • 920mは「外有利+前有利」が最も極端に出る、短距離らしい距離です
  • 主戦場の1500mは外有利がはっきり残り(0.71)前有利は7.26倍と920mほどの極端さはありません
  • 1700mまでは、距離が伸びるほど外有利も前有利も緩みます1700mでは枠0.84・逃げ÷追込4.11倍と、名古屋の中では最も後方に出番のある距離です(2000mは102レースと数が少なく0.59と振れており、距離別グラフからも除いています)

※900m・2100mはレース数が少ないため、距離別の集計からは割愛しています。細かい距離別の集計は傾向としてご覧ください。

中央競馬場との違い

中央競馬場の満員のスタンド。何万人もの観客が幾層にも重なり、手前の人々は一様にコースの方を向いている

中央のダートに慣れた方向けに、同一基準の実測で違いを整理します

指標名古屋(弥富)地方全体中央(ダート)
1番人気の勝率42.5%44.3%34.1%
平均出走頭数11.0頭10.1頭14.2頭
枠(内÷外の勝率比)0.700.860.84
逃げ÷追込(勝率比)7.910.28.9

※逃げ÷追込は、実際の位置取り(最初のコーナーの通過順位)による勝率比です。地方・中央とも同一の定義で集計しています。

※比較に使う「地方全体」「中央(ダート)」の数字は、いずれも直近5年(2021年6月~2026年6月)の集計です。名古屋は弥富へ移転した後に限って集計しているため、期間がそろっていない点にご注意ください。

中央ダートでも「外枠有利」(内÷外0.84)は出ますが、名古屋(弥富)の0.70はそれより一段強い数字です。砂のコースに共通する内側の不利(ラチ沿いの砂の深さ・砂被り)が、弥富ではより強く出ているものと考えられます。

一方で、後方の届きにくさを示す逃げ÷追込は、中央ダートの8.9倍・地方全体の10.2倍に対して名古屋は7.9倍と小さめです。前有利は共通しつつ、その中では後方に比較的出番のあるコースと言えます。

1番人気は中央より8%ほど堅く、フルゲートも12頭と小さいため、中央の感覚よりも人気サイドで決まりやすい場です

まとめ:名古屋(弥富)の傾向を把握して馬券戦略を組み立てる

30代の日本人男性2人が、競馬のデータを見ながら考えている場面

本記事の要点をまとめます。集計は弥富へ移転した後の4年間に限定しています。

  • 移転後の1番人気勝率は42.5%で、地方全体44.3%をわずかに下回るやや割れ気味の水準です。ただし中央(34.1%)より8%ほど堅い場です
  • 新しくなった弥富のコースは「外枠有利」(内÷外0.70)がはっきり出ます。地方の中でも外枠有利が強い部類で、回収率も内59.6%・外76.7%と17%前後開き、内枠は買われ過ぎの傾向です
  • 外有利は距離が短いほど強く(920m 0.56)、馬場が渋るほど強まります(良0.72→不良0.65)。「枠は距離・馬場とセットで見る」が弥富の結論です
  • 実際に逃げた馬の押し切り率は24.2%、逃げ÷追込は7.9倍で、前有利の中では後方が相対的に届きやすい部類です。920mだけは逃げ46.2%・追込1.0%の極端な前有利になります
  • 主戦場は1500m(66.6%)の一極集中で、旧・土古とは距離体系そのものが変わっています

どの傾向も「そのまま買えば儲かる」ものではありませんが、人気馬の評価やレース選びの物差しとして組み合わせていくことで、長期的に予想を組み立てる材料になります。

場別シリーズとしては、地方競馬14場をひと通り見てきた最終回です。地方競馬全体の傾向はまとめ記事で一覧できます。

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